地図で読む日本の古代史 90分でわかる!「日本と日本人」の始まり

地図で読む日本の古代史 90分でわかる!「日本と日本人」の始まり
「歴史ミステリー」倶楽部編 2013 三笠書房

内容、出版者ウェブサイトより

列島に人類が住み始めた約5万年〜3万年前から、縄文〜弥生の考古時代を経て、大和政権が誕生して奈良の都での数々の事件ののち、平安京に遷都する794年までの日本の古代史を、項目ごとに見開きで解説し、左頁には関連する詳細な地図を掲載しています。
地図を参照することによって、本文がより理解しやすくなるだけでなく、文章だけでは見過ごされがちな新たな視点も浮き上がってきます。
また、地図に添えて、複雑な人間関係(系図など)や事件の経過なども要領よくまとめて図示していますので、立体的に事象が把握できます。
以上のことから、日本の古代史がより理解しやすく、さらに面白く、興味深く、そして身近に感じられるはずです。

感想

・「地図で読む」というタイトルから、地形や地理関係が歴史に与えた影響を説いているのかと期待したが、そうではなくただ地図を提示し図解しているだけ、というのが正直なところ。

・確かに地図で出来事の地理関係を把握すると興味はよりわくし、例えば戦闘の経緯などもイメージがしやすい点は評価できる。

・もう少し史料批判の視点があってよかった。

古墳時代飛鳥時代の歴史を読むにつけ思うのが朝鮮半島との関わり。再三にわたり日本列島の権力は朝鮮半島に軍事力を行使している。時代によって変わるが朝鮮半島に大きな権益があった。各国の軍事バランスの関係で百済新羅は倭に朝貢していた時期もあったし、百済にいたっては王族を人質にさし出している。倭はそれなりの大国だったわけだ。

技術者も多数移入しているし、かの地を冠した土地や寺も日本にはたくさんある。南九州などよりもずっとずっと大きな関心が朝鮮半島にあったことを再確認した。倭からすれば中国とのルート上にある先進地だ。興味がないわけがないだろう。

飛鳥時代以降という現存史料に近い時代だと、それはすさまじい権力闘争の雨あられ。大げさな話、天皇の代替わりごとに誰が天皇になるのか、それにくっついてどの貴族が権力を握るのか殺しを含んだ謀略をめぐらしているんじゃないか、ってくらい。
ある程度権力基盤が安定した平安時代との違いはなんだろうか? 律令が整備されていないから? 各貴族がまだまだ実質的な力をもっていたの? 天皇の権威が揺れていたの?

メモ

「本格的な自衛集落は日本史上、この弥生時代室町時代末のみ」p26