まんがで読破 或阿呆の一生

まんがで読破 或阿呆の一生
原著芥川龍之介 漫画化した人物は不明 2009 イースト・プレス

内容、背表紙より

人生のはかなさを感じているひとりの青年。知識に富んだ彼は創作活動に精を出し、作家としての地位を確立していくが、神経質な性分と多忙な生活から自分を見失い、精神的にも肉体的にも抜け出すことの出来ない闇の中へと身をゆだねていく…。『或阿呆の一生』と『歯車』―芥川龍之介晩年の自伝的作品2編を漫画化。

感想

○立体感のある絵で、うまいなあ、と思った。

太宰治の「人間失格」にしろ本書にしろ、何でこんなにこれら小説の語り手たちは「狂気」におびえているのだろうか?
それが疑問に思った。

○本書におさめられている「歯車」には少し狂いつつあることを示唆する場面があるが、前に読んだ狂人の記録に似ていた。
著者自身も狂っていたのか、狂人の記録を参考にしたのか、単なる的を射た発想力のたまものか・・・。

○こんなにも「狂気」におびえる主人公たちであるが、逆にむしろそれがゆえに、狂気に誘われているようにもみえた。

単なる思いつきだが、彼らにとって狂気とは一種の救済だったのではないだろうか?
僕には本書の主人公が、このつらい世から逃げるために狂気を志向しているようにも見えたのだ。