あらすじでわかる中国古典「超」入門

おすすめ!
あらすじでわかる中国古典「超」入門
川合 章子 2006 講談社

内容、出版社ウェブサイトより


西遊記』『紅楼夢』『史記』1冊でおさらい中国!!
漢文の知識からゲーム・武侠小説世界も概観
旅行に、ビジネスに、関わりが広がる中国文化格好のガイド。「知ったかぶり」できる!!

中国の場合、社会的なことでも政治的なことでも文化的なことでも、とにかく歴史上の故事や文学からの引用などが多く使われることが顕著です。そのため翻訳だけではなく、中国人と話すにしても、テレビドラマや映画を見るにしても、さらにはレストランでメニューを見たり、ショッピングの商品広告を見るのでも、そうした知識があるのとないのとでは理解に大きな差が出てくるのです。もちろん、そんなコムズカシイことを考えなくて、ただ、この本を読んで、中国人に「知ったかぶり」をしていただくだけでも結構です。なにしろ、1人でも多くの日本人が、中国人を驚かせて「哎呀(アイヤ)!そんなことまで御存知なんですか。中国通(チョングオトン)ですね」と言ってもらうようになることも、この本を書いた動機のひとつなのですから。

●春秋・戦国時代――論語孟子荀子老子荘子墨子韓非子、楚辞
●秦・漢・魏晋南北朝時代――史記曹操陶淵明山海経
●隋・唐・宋時代――李白杜甫白居易、蘇軾
●元・明時代――西廂記、三国志演義水滸伝西遊記金瓶梅封神演義
●清の時代――聊斎志異、儒林外史、紅楼夢、児女英雄伝、三俠五義

感想

中国の、各時代を象徴する超有名古典をいくつか取り上げ、その成立の経緯や内容、あらすじを紹介する。わかりやすい。おすすめ!

進学校でみっちり漢文を勉強させられた者なら、論語はもちろん、孟子韓非子老子史記貞観政要山海経杜甫聊斎志異などなど、名前くらい聞いたことがあると思う。
これらの内容などを簡単に説明する。思想の深みや、ヴァリエーションの豊かさは、中国古典の歴史の厚みを感じる。こういう基礎知識をもった上で、高校の時に読まされた漢文を読めば、きっとより興味をもって読めたし、かつより深く読めたのだろう。ちょい深く勉強した人からするとあっさりしすぎているかも知れないが、ひとまず全体の導入として流れをつかむ上では良いと思う。

また、時代ごとにその特徴と、古典への影響も整理しており、中国の歴史にも興味を引かれる内容になっている。

今の中国政府の人権感覚や先端技術導入の強引さは大嫌いだけど、中国が遙か2000年以上前から積み上げてきた、「思」や「学」や「文」の厚みはさすがにすごい、と思わされた。