もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

おすすめ!
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎夏海 2009 ダイヤモンド社

内容、カヴァー折口より

公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。はじめは難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのにドラッカーが役立つことに気付きます。みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。家庭、学校、会社、NPO…ひとがあつまっているすべての組織で役立つ本。

感想

 普通におもしろいと思う。
 高校野球部の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を参考に、野球部をマネジメントしたところ、どんどん強くなり、学校全体がいい風にまわるようになったというお話。下働き的なニュアンスの強い日本の部活における「マネージャー」に、管理経営を意味する欧米の「マネージャー」を入れ込んだところはいいアイデアだ。


組織運営にはマネジメントが必要なことや、
顧客を定義し、その現実・欲求・価値を考え、顧客を満足させなければならないということや、
働きがいを与えるには責任を持たせなければならないことや、
目標を持つ重要性など、
『マネジメント』に書かれた経営哲学を知れる。そして、実践でどのように役立てるかということを理解できる。何より、本書を読んだ自分自身が、己の属する組織のマネジメントについて考えるようになった。本書にはそういう力があると思う。それが何よりの利点であり、魅力だ。


ただ、アマゾンの秀逸な書評(インク氏)に

みなみちゃんは何かにとりつかれたようにマネジメントを信奉しはじめます。
問題が起きる→マネジメントを読む→解決!
終盤まで延々とこんな流れが続きます。
一般的な物語ならそう簡単に話が終わるはずなどなく、むしろさらなる困難が待ち構え、それにどう立ち向かうかが重要になってくるわけですが、そんなものドラッカーのマネジメントの前では無意味です。
これさえ読んでいれば人生は全てうまくいく。週刊誌で宣伝している願いのかなう宝石のような効果がマネジメントにはあるのです。

http://www.amazon.co.jp/review/R92LAB0MXPIE0/
という指摘もあるとおりで、小説としてみた際の芸術的価値は著しく低い。


また、ドラッカーの主張はほとんどその通りだと思うけれど、彼の言ってることは学問ではなくて、哲学じゃないの?って思った。
まあ、いろいろ書いたけど、一読、二読、三読に足る面白くていい本。