機巧館のかぞえ唄

機巧館のかぞえ唄
はやみねかおる 1998 講談社


【内容(「BOOK」データベースより)】
機巧館でひらかれたパーティーのとちゅうで、老推理作家が消えた。そして、作家が消えるまえにつぶやいた呪文のようなかぞえ唄どおりにつぎつぎと事件がおこり、亜衣の身にも危険がせまる…。読者をあっといわせる結末が待つ『夢の中の失楽』をはじめ、こわい(?)話から赤ちゃん騒動まで、ボリューム満点の名探偵夢水清志郎事件ノート第6作。小学上級から。


【雑感】
小学生のとき好きだったシリーズものの一冊だ。最初読んだときは、わけが分からず、また、それが無気味で魅力的だった。ずっと、脳裡に残っていたのである。


しかし今読んでみると、そう難しい話でもない。
キーワードをいうならば、「現実と虚構」がきっとそれだと思う。
犯人がもっと狂っていたら、よりテーマが身をもって迫ってくるように思った。


虚構は虚構を生み、甘美な狂気を誘う。


本編の現実だけに着目するならば、それはなんともむなしいものになるが、そのむなしさの中身を、もっと描くべきだったように思う。虚構は盛りだくさんなのに、現実はなんとも、ほとんど記述がなかったからである。