諸君、私は革製品が好きだ。

と、タイトルで書いておいて、「あの少佐」のテンプレにはならないのです。期待した皆さんすいません。


さて、
僕は革製品が好きだ。特にオイルレザーが大好きだ。
においもいいし、つやもいい。自然にできたトラもいいし、血筋が残っているのもいい。
なにより、あの、吸い付くような感触がたまらない。
僕はオイルレザーをペタペタ触っているだけで幸せな気分になる。
オイルレザーに肌を寄せるということは、草原に寝っ転がって澄んだ空気を吸いながら白い雲の動きをぼんやりと眺めることのように、母なる地球と一体となるということなのである。


そして、革は、使用者の使われ方によって、その色合いを変える。
そう、エイジングするのである。使用者と共にあればあるほど、深みは増し、オリジナルになっていくのである。



攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(第25話『硝煙弾雨 BARRAGE』)に以下のような会話がある。敵に追われるバトーと素子であるが、そんな中で何とか再会し、バトーが、素子に、素子がセーフティハウスにおいてきた腕時計を渡すシーンである。


バトー
「どれだけ義体を乗り変えても
そいつだけはおまえとともに
おんなじ時を刻んできたんだろ


刹那に過ぎる時のなかで
自分という「個」を特定しうる証拠を、記録しておきたいからこそ
人は外部記憶に、それをゆだねる
おまえにとっちゃ、そいつが唯一
これまでの自分を特定できる外部記憶装置なんじゃねえのか」


草薙素子
「時計に筋トレか・・・・・・お互いしょうもない
記憶のカケラにしがみついてきたものね」


かっこよく、そしてしゃれた会話だ。
バトーにとって「刹那に過ぎる時のなかで 自分という「個」を特定しうる」「外部記憶」は、筋トレであり、素子にとっては腕時計であったわけだが、僕にとっては、オイルレザーでできた、財布であり、鞄なのである。