神様のカルテ

神様のカルテ
夏川草介 2009 小学館

内容、内容(「BOOK」データベースより)

神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。

感想

 大切な先輩に、僕が本書の主人公である「栗原一止(くりはらいちと)」に似ていると言われ、読んでみた。似てるかなあ。適当に言われた気がしてこなくもないが、見ている世界、見ようとしている世界は似ているかもしれない? いや、傲慢だな。あるがままの世界を愛しているところ、愛そうとしているところは似ているかも。僕の方が数倍凡愚だけどね。
 分かりやすく単純で安直なキャラクター設定。
 良い意味でも悪い意味でも、小説の全ての場面がそのまま絵にして映える。が、絵として映えても表面的だし、読み手を揺さぶるだけの登場人物の心に迫る葛藤も文章力も無い。絵になる物語は好きだけど、絵になる場面とそうでない場面の緩急がないと一部分が光らない。そういう意味ではだらだらした小説だった。