大学生・社会人のための言語技術トレーニング

大学生・社会人のための言語技術トレーニン
森ゆりか 2013 大修館書店

内容(「BOOK」データベースより)

グローバル社会で求められるのは世界基準の“ことば力”。対話:面接などにも役立つ、論理的な受け答えの方法。物語・要約:物語の構造を理解することで、要約や速読の力。説明:分かりやすく情報を伝達することができ、話に説得力が出る。報告:レポートや報告書などで、事実や進捗状況を的確に伝える力。記録:話し合いの経過や結果をまとめ報告する議事録が的確に書ける。クリティカル・リーディング:文章を論理的に分析し、解釈できる読解力。作文技術:論理的に構成されたパラグラフで、分かりやすい文章を書く力がつく。

感想

「言語技術」とは何か、どのようなトレーニングで向上させればよいのか、論じている。僕は、言語技術ないし思考力をたかめるために「反論」に的をしぼって指導するタイプだ。しかし本書は反論についてはあまりふれず、思考を深めていくさまざまな観点(なぜ?どのように? 等)を整理したり、テクストに書かれていることをもとに考えていくテクスト分析、小論文の型を紹介している。

本書は、言語技術の重要性やそれをトレーニングするヒントが述べられており、よりよい市民社会をつくっていくうえで重要なものだと思う。またこの本がいかせる教育系の仕事に就いていることをうれしく思った。どの仕事でも本書の内容をいかすことで社会に還元できると思うけれど、僕は特にどストレートに関わる職に就いているので。それでよりよい市民社会を担う土台を少しでも強固にできたら幸せなことだ。

メモ

・要約の技術の1つに「因果関係法」がある。「最終的に提示された結果から遡ってその根本原因を探」p66り、それを次々と遡っていく。

・空間的に提示された情報を説明するときは、大きい枠の情報から小さい枠の情報(細部の情報)へと並べるとよい。

・テクストに書かれていることに基づいて分析し、批判や批評を加えるのがクリティカルリーディング。それをトレーニングする方法の1つに「絵の分析」がある。観察力の向上もみこめる。

①何が描いてあるかに着目して、ざっくりとどのような絵か表現。

②絵の細部に着目して分解。絵を根拠に分析

設定 場所、季節、天気、時間など
人物 性別、年齢、職業、出身、階級、容姿、服装、趣味、興味、嗜好、何をしているか、何を考えているか、何を話しているか、何を聞いているか、何を観ているか、何を読んでいるか、何を感じているかなど
表現 構成、色、明暗、描き方など
象徴 象徴性のあるものは?、タイトルの意味は?