まんが医学の歴史

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まんが医学の歴史
茨木 保 2008 医学書

内容、出版者ウェブサイトより

医学の歴史は、人類の誕生とともにはじまり、いつの世もらせん状に続いてきた泣き笑いの人間ドラマがあった。世界初! 臨床医であり漫画家である著者による、まんがでみるわかりやすい医学の通史、堂々の刊行。古代の神々からクローン羊のドリーまで、『看護学雑誌』2003〜2005年の連載に大幅描き下ろしを加えた。

感想

・「医学の進歩に大きな影響を与えた出来事や人物に焦点をあてて、太古の昔から21世紀の現代までの時の流れを」p111追ったマンガ。

・苦しんでいる病人を治したい、人体の不思議、生物の不思議を解き明かしたい、という人類の願いと苦闘の歴史が詰まった本。

・伝統の盲信から真理を追究する「科学」へ。
高いイスに座ってご高説をたれるのではなく、自分の手を使って確かめてみること。実験をくり返して条件をいれかえて、未知を解き明かそうとすること。
その過程を経て医療は医学として昇華したんだなあ、と感じた。そしてその過程にあったたくさんのドラマ、開拓者たちの人生がこの本には詰まっている。

ネット上に「この本の素晴らしいところは、医学に業績を残した人の「その後」まで書いてあること」(http://www.amazon.co.jp/review/R1R7BR4JU7ZFNJ/ref=cm_cr_dp_title?ie=UTF8&ASIN=4260005731&channel=detail-glance&nodeID=465392&store=books)という指摘があったが確かにそうだなあ、と思った。

晩年まで栄光のうちにあった者、成果を出しつつも失意のうちに死んだもの、大切な人を失ったもの、半ば気の狂った者、自らの過ちに気づき苦しみ続けた者、ライバルと熾烈な研究争いを演じた者、学閥の頂に登りつめた者、最後まで現場にいた者、生前から自説を受け入れられた者、そうでない者、などなど。

「医学」という柱を軸にして、そこに偏在するたくさんのドラマ、たくさんの人生。

医学発展の歴史を学ぶとともに、「人生」そのものについて考えさせられる本だった。