「万単位」の「専門集団」を「柔軟に」動かせるのは「軍」しかいない

東北と関東を襲った東北地方太平洋沖地震から一週間以上すぎた。こんな記事を見つけた。

“現地調整所自衛隊が指揮”
北澤防衛大臣は、防衛省の災害対策本部の会合で、福島第一原子力発電所の事故対応を協議するため設けられた、各関係機関の「現地調整所」について、菅総理大臣の指示の下、２１日から自衛隊が活動全般の指揮に当たる考えを示しました。
福島第一原子力発電所の事故対応について、自衛隊や消防、東京電力などが、放水作業をはじめとした具体的な作業方針を協議する「現地調整所」が、福島第一原発から２０キロほど離れた福島県楢葉町の運動施設に設けられています。
これに関連して、北澤防衛大臣は、防衛省の災害対策本部の会合で、「菅総理大臣から、福島第一原発への放水や観測作業の実施要領について、自衛隊が中心に調整するよう、警察庁長官、総務省消防庁長官、防衛大臣、福島県知事、東京電力社長に指示があった」と述べ、２１日から自衛隊が活動全般の指揮に当たる考えを示しました。
また、北澤大臣は「宮城から岩手にかけての海岸沿いは、自治体が対応できず、自衛隊が責任を持って対応することになり、支援物資の輸送など、非常に作業が効率的になっている。まもなく孤立状態となっている集落に支援物資が届かない状況はなくなる」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/

アホか、おせーよ！

この度の震災は、大地震と大津波が列島各地を極めて広範囲に襲い、まさに未曽有の大災害となっている。そして、原子力発電所にまで影響が及び、バックアップシステムは働かず、結果、放射能を撒き散らすまでの事態となった。事案は継続中。一定の解消までにいったい何年かかるのだろう。

ここで東京電力を批判するのは馬鹿なマスコミみたいでちょっと恥ずかしくなるが、東電の対応は最初から不信だらけだった。
○会見はしどろもどろで何も説明できない。
○わからないものを「分からない」というのは好感がもてるが、どのくらい放射線が出たか、というちょっとした機械で測れるものをいつまでも言わないのは、極めて不信を感じた。
○これまで事故を起こしてもすぐに公表しない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/福島第一原子力発電所#.E4.B8.BB.E3.81.AA.E3.83.88.E3.83.A9.E3.83.96.E3.83.AB
○さらに大前研一氏によると、東電の幹部には原子力の専門家がいないという。
http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0

ここにきて原子力発電を引っ張る立場だった東電や原子力安全保安院に、かつ災害対策のエキスパートでもない彼らが、事態を解決できるとは思えない。
福島第一原子力発電所と大規模災害をよく知っているのは誰？
発電所を運営する東電？
これを管理する国？　あるいは原子力安全保安院？
発電所を作った東芝？
原子力発電や放射線に詳しい研究者？
通常の災害に対応する消防庁？
それとも、大規模災害に特別に対応する自衛隊？

当然これら全員の力が必要だろう。そしてこの中でこのチームをまとめ率いることができるのはどう考えても自衛隊だけだ。常日頃、極めて多種多様な専門集団を、大規模に、かつ柔軟に、運用している自衛隊だけだ。もちろん、自衛隊は常に政府の支配下にある。そうして、福島第一原子力発電所に関わる多種多様な専門家をまとめあげ、未曽有の大事故を解決する実行力を持っているのは自衛隊だけだ。
21日から自衛隊が主導で事故処理にあたるって、あまり遅すぎるし、いままでそうしてないなんて恐ろしく愚昧だ。

思えば先週の金土日は、自分の国を襲う大災害を、文字どおりテレビにかじりつくように見ていた。ツイッターに流れる災害情報を必死で追った。多くの国民がそうだろう。
ただそこから違和感があった。というのも、死者・行方不明者の情報がバラバラの機関から流れているのである。大災害から二日たった日曜日でさえそうだった。
国、
警察、
各県、
各市町村、、、

そしてマスメディアは、各機関から公表された死者・行方不明者を足して合計を出していたのである。

いやこれおかしいでしょ。なぜなら、これほど大災害が起きてるのに、国家の各機関をまとめる組織が存在していない、もしくは機能していないことを強くうかがわせるから。

大地震に、大津波、はては原子力事故。まさに東日本という極めて広範囲に及ぶこれほどの災害で、国の持ってるさまざまな力を統合して柔軟に運用できるのは誰？
広範囲の被害状況を調査し、そしてそれに投入しなければならない力の種類とその規模を判断できるのは誰？

どう考えても、自衛隊しかいないでしょ。日頃から、万単位の人間を、しかも高度に分化された専門集団を、命がけで、状況に応じて柔軟に、最適解になるように運用できるよう訓練しているのは軍しかないでしょ。日本だったら自衛隊しかいないでしょ。

別に政府や警察にそういう力を身につけろ、なんて思わないよ。必要ないもん。

各機関がバラバラと被害を公表したこのとき自衛隊は何やってたの？　政府は自衛隊に命じなかったの？

報道をみる限り、自衛隊がこの災害に対し、主導で救助していたようにはみえない。

だがはっきり言いたい。内閣や地方政府に、大災害の救助を主導する能力はない。あるのは「万単位」の「専門集団」を「柔軟に」動かせる「軍」だけだ。
内閣主導のバカみたいな会議を演出する暇があるなら、ちゃんと命令しろ。
「自衛隊の出番だ。各国家機関もうまく使ってひとまず事態を落ち着かせろ。事態が落ち着いたら、復興その他のために政府が主導する」、と。