南日本新聞のクズなところ一つーー年賀来訪ーー

 2011年1月5日の南日本新聞。見開き丸々2面も使って、「年賀来訪(本社、総局、支局)」のページがあった。毎年の恒例だ。
 丸々2面に渡って、南日本新聞社に挨拶に来た個人や団体が、ずらずらと箇条書きに並んでいる。政治家や、行政の各機関、県内有力企業、県内有力業界団体、その他有力な団体のトップや管理職。教育長やPTAのトップまで御挨拶に来ている。


きもちわるいなあ。
ほんと、きもちわるいなあああ。


何なの、いったい何のつもりなの?


 南日本新聞社へ御挨拶にわざわざ参上した、各種個人や団体に対する御礼のつもり? 無料で宣伝してあげてんの?
 それともまさか、南日本新聞社に御挨拶に参上するということは、その読者、あるいは市民に御挨拶することを意味するんだ、なんてひどく傲慢なこと思ってないよね? 
 もしくは、我らが南日本新聞社には、このように、公務員から準公務員、民間まで、県内有力者がこぞって挨拶にくる偉大なる会社ぞよ。下々の市民は有り難く我らのつぶやき(記事)を拝聴せよ、とでも言いたいの?
 馬鹿じゃないの? お上の言ってることを右から左に流してるだけのくせに。さらに悪いことには、それに素人の思いつきをくっつけてるくせに。


きもちわるいなあ。
ほんと、きもちわるいなあああ。


 丸々2面、貴重な空間だ。圧倒的なスピードと大量印刷を可能にする輪転機という巨大な産業装置を使い、そしてすみずみにまで行き渡った販売網を駆使して、僕たちの手元に新聞は届く。莫大な金。莫大な技術。莫大な時間。莫大な人員。莫大な歴史。莫大な信頼。
そういうもろもろがあって、僕たちの手元に新聞はやっと届くのだ。だから紙面というのは大変貴重なのである。大変大事にしなければならないのである。


 それを。その貴重な紙面を丸々2面も使って、自分たちの会社に御挨拶に参上した個人や団体を並べて、自分たちの力の大きさをひけらかす。


きもちわるいな。
ほんと、きもちわるいなあああ。


 頭おかしいんじゃない? 自分たちが、税制面で一部免除があり、さらには価格維持制度や、メディア同士の持ち株が許可されるなど、特別に社会的価値があるとされ、優遇されているのが分かってるのかなあ。
 まあ、新聞記事を読んでいると、そこにいる人たちのレベルがしれる。ただ、新聞という構造的にしかたがない部分もたくさんあると思う。短時間で効率よく、大量の紙面を埋めないといけないのだ。自分で考えたり、調べたりする時間もなかろう。「マス」メディアだから、お客様たる市民を批判することは難しいし、情報提供者の顔色もうかがわないといけない。影響力が大きすぎて過激なことも書けず、結論は小学生でも書けるつまらない常識論ばかり。
 もう僕はマスメディアに何も期待はしない。リンゴが赤いのと一緒だ。リンゴは赤い。それ以上でもそれ以下でもない。黄色になったり、黒色になったりしない。それと一緒だ。マスメディアは低俗、低脳。それ以上でもそれ以下でもない。


 ただ、そんなマスメディアの影響力が強い社会が絶対に許せない。


 事実や主張の根拠を疑いながら、そして書いていない隠れた価値観を暴き検討しながら、新聞を読む。情報を得る。価値観を磨く。僕はそんな読者を育てたい。僕はそんな市民社会に生きたい。